制服というのは、自己流で着丈を直したりせず素直に着て初めて本来の制服の良さを発揮する
特に企業のシンボルカラーなどを取り入れた制服は、それを着ることで『社を代表する者』として動く広告となる
だから着こなしが重要なのだ
もう数年前のことだ
私が以前贔屓にしたいた某大手携帯通信会社の、地域のショップの女性店員に度肝を抜かれたことがある
その会社は長らく日本の携帯電話業界を牽引してきた代表的な企業だ
携帯電話の機種変更でショップを訪れ接客してくれた店員は、
欧米か?とツッコミを入れたくなるほどの金髪に近い茶髪
マッチ棒が5本くらい乗りそうな安定感のある人工的なつけまつげ
仕事上がりはどこぞのパーティにご参加ですか?と聴きたくなるくらい華美なネイル
その企業の誠実さや品格を表現しているであろう洗練された制服は、
もはや完成度の低いコスプレにしか見えない
この外見だけで接客の程度は予想できたが、期待を裏切ることなくがっかりさせてくれた
語尾の最後を伸ばしすぎる(私はあなたの友人ではない)
その機種の扱いは不慣れなようで、自ら取扱説明書を取り出す
よく見ると制服に深い座りジワが入っている
ジャケットのVゾーンから覗いているシャツには洗いジワ
残念ながら私よりも随分とお若いお嬢さんは、制服に間違った『自分らしいオシャレ』を取り入れたようだ
そしてその企業イメージとは真逆のメッセージを無言のまま私に送りつけてくれた
機種変更に予想以上の長い時間を要したことも付け加えておく
ちなみに現在その会社は利用していない
◉制服を身につけたあなたは企業を代表する『顔』である
企業の制服には、それぞれの企業イメージを連想させるカラーやモチーフがあしらわれていることが多い
例えば日本を代表する2つの航空会社
ANAの客室乗務員の現在の制服は、
グレーをベースとしたスカートスーツ
シンボルカラーのブルーのラインをブラウスや袖に効かせ、スカーフもブルーで統一
画像引用元:ANA公式サイト『会社沿革〜客室乗務員制服の変遷〜新制服 2015より』
公式サイトによると
「優雅かつブランドを体現し、世界一のリーディングエアライングループとしての機内サービス品質の高さを感じていただく」
ことをコンセプトにデザインしているということだ
JALの客室乗務員の現在の制服は
ネイビーをベースとしたジャケットとワンピース
企業のシンボルカラーである赤を、スカーフやベルトに取り入れている
この制服を導入する時のプレスリリースではこう述べられている
『新デザインは、新生JALブランドのコンセプトをベースに、
清楚で上質なものを目指すとともに、
航空機のデザイン・空港のサインとも調和し、
お客さまに一目で「JALグループの社員」と認識いただけるものとしました。』
『新しいJALグループの制服には、
どんな時でも“お客さまにやさしい気持ちで接することができる制服にしたい”というすべての社員の想いが込められています。
新制服着用にあたり、お客さまに、心から喜び、感動して空の旅をお楽しみいただけるよう、
これまで以上に、JALグループ社員一丸となって、おもてなしの心をこめた最高のサービスを提供してまいりますので、ぜひご期待ください。』
2社とも、日本の航空業界を牽引するリーディングカンパニーの誇りと責任を持ち
社員が一丸となって上質なおもてなしでお客様をお迎えするという意識がこの制服に表現されている
私は過去、政府高官の随行員として2社ともにチャーター便に搭乗する機会があり、プライベートでも世界の航空会社を利用してきた
その中でも、日本の航空業界を代表するこの2社の制服の着こなしは完璧だ
入社後のトレーニングでもその印象管理は厳しく指導されるそうで
ヘアについては茶髪禁止で表情が隠れてしまう髪型もNG
メイクに至っては客室乗務員にふさわしいメイクアップについて専門家の技術指導を受け、某メーカーの色番指定(照明を落とした機内でも健康的に見せるという配慮からくる)
制服はサイズ変更などの手続きが大変なこともあり、客室乗務員は自身の体型管理にも厳しい
華美なアクセサリー禁止
ネイルは上品に、アートは禁止
などなど、挙げればキリがない(チャーター便の中で直接客室乗務員様に質問させていただいた)
しかしこの企業イメージを前面に打ち出した制服をきっちりと正しく着こなすことで
『優雅』『品質の高さ』『最高のサービス』
顧客はこれら企業イメージを外見から感じることができ、
完璧な言葉遣いや立ち居振る舞いによって実感し
また次もこの航空会社を使おうと思うのだ
◉制服に『オシャレ」を求めた時点で偽物になる
制服に『個人的な趣味のオシャレ』は必要ない
オシャレに命をかける社員が目に付くようでは、企業の顔は丸つぶれだ
昔から言うではないか
『服装の乱れは心の乱れ』
いいえ、私は乱れてません、制服でも個性を出したいのです
そんな屁理屈は一般の、しかも企業が大事にすべき顧客には何ら関係ない
世間に抱いて欲しい企業イメージ
それを大事にしたいのであれば
社員の印象マネージメントは重要な要因である