形だけの接遇ならやらないほうがいい〜看護師編〜

多くの病院が4月に新人看護師を迎え、様々な研修を行い、今はそれぞれの現場で日々奮闘している頃だろう。

 

私は元看護師で、病院スタッフ向けの接遇研修を監修して行う仕事をしているが、
それぞれの組織で抱える課題は様々で、
研修プログラムを作成する前には必ずクライアント先でヒアリングを行なっている。

 

 

接遇研修に病院ごとのオーダーメイドプログラムが必要な理由

 

各病院が掲げるビジョンとミッション、それを上層部が明確に言語化でき、
スタッフに示すことができているか、
スタッフはそれを理解し、具体的・自主的に行動できてるか、
これまで上層部がスタッフに対してどのような評価をしてきたのかを確認し、

 

研修で何を補えばスタッフ自らポジティブな行動を起こしたくなり、
実際に行動し、スタッフ自身・院内・患者全ての人が心地よく過ごせる環境に変化するよう、
プログラムに具体的に反映するためだ。

 

クレームはゼロにはならない

 

サービスに対して「よかった」「悪かった」とジャッジする基準は人によって様々だ。
それぞれに育ってきた環境、どんな思考をするか、どんな価値観があるか、
判断基準はたくさんあり、すべての人に好まれるサービスはない。

 

忘れてはならないのが、患者は病気になったことで様々な不安を抱えており、
いつもならなんとも思わないレベルのことでも敏感に反応してしまう傾向にあることだ。

 

看護師がサービス業界で行われる接遇を学んで、
命を守る現場である病院内でお辞儀の角度やサービス業ならではの笑顔を練習しても
患者の気持ちの理解や共感ができていなければなんの意味もない。

 

形だけというのは患者に伝わってしまうのだ。

 

なぜ接遇が必要なのか、自ら行動したくなる動機付けをする

 

自ら行動したくなる動機。
それは「行動することで自分にどんなメリットがあるかがわかる」ことである。

 

現場スタッフとしては「なぜそれをやる必要があるのか」腹落ちしないと動きたくならない。
それよりも医療過誤や事故を起こさないことに注意を払う方がはるかに優先順位が高いからだ。

 

でも日々の多忙な業務の中で、できるだけ患者の話を聴き
どんなケアが必要なのかはどんな看護師も考えていることだ。

 

ならば、こんな風に具体的に示すのがいい。
どんな風に振る舞うと相手が不快な思いを抱くのか。
それは、自分の存在自体が不快な思いをさせるのではなく、
自分の振る舞いや言動によって相手が不快な気持ちになっていること。
それがクレームの原因であること。

 

どんなに仕事ができて優秀で心優しくても、
白衣が汚れていたりシワがよっていたり
所作が乱暴であったり、
相手と視線を合わさず話したり、
話が終わっていないのにつま先がドアの方を向いていたり。

 

その振る舞いが相手を不快な気持ちにさせている。

 

クレームは、自分の存在に対して出るのではなく、
行いに対して出る。

 

それがわかれば、どう行動するかがわかり
看護が変わり、
患者との信頼関係がもっと深くなる。
患者から信頼されることでさらに自信が湧いてきて看護の質が高まり、上司からの評価もよくなる。
それがサイクルすれば、全ての人が幸せになる。

 

だから、それぞれの病院において
「あなたに担当してもらいたい」
そう思われる印象管理を学ぶことが大切なのだ。

 

(こちらは病院スタッフ向け接遇研修での私。そのまま手術室で働けそうだ)

 

 

 

このブログの著者
大久保美帆(おおくぼみほ)
フリーランスの女性向け印象マネージメント
企業向け接遇研修講師
プロバレーボールチーム「ヴィクトリーナ姫路」ブランディングトレーナー
元陸上自衛官・元看護師